耶馬溪と台酒店
耶馬渓は、大分県北部に位置する奇岩の連なる渓谷地帯。
長い年月をかけ、溶岩台地を水流が浸食し
その深く神秘な地形はやがて
伝説と祈りの場所となっていきます。
古来より人々は、ここの自然の造形美に魅せられ
ある時は、神仏の信仰施設を建造し、
ある時は、洞門と石橋で道を通し、
ある時は、絵画や庭園でそれを表現しました。
当店の屋号である「三福屋」は、
耶馬渓を流れる山国川支流の二つの集落、
三尾母集落と福土集落の
頭文字から名付けられました。
なぜ、今ここで酒屋なのか?
繰り返される流行と、大量生産により産み出された商品は
洪水のように人々の生活に流れ込み
私たちはそれが、明日の生活を脅かす行為と知りながらも
大量消費の生活を未だ手放すことができないでいます。
消費の舞台が都市に集中していく中
大分の片田舎で100年近く続いてきた酒屋に何ができるのか。
酒蔵の杜氏たちが丹誠込めて造った酒は
時代の風潮や流行に流されることのない「旨さ=個性」を持っています。
そうした酒の旨さを伝えていくことが
田舎で酒屋を続けてきた我々の使命だと考えています。
同時に、これまでの消費のあり方を見つめ直し
地産地消を基本とした持続可能なライフスタイルを確立するためのひとつの挑戦として
我々はここで酒屋を続けていくことを選択しています。